言語聴覚士(ST)とは
そもそも言語聴覚士(ST)とは
言語聴覚療法は、一般的に「ST(Speech Language Hearing Therapist)」とも呼ばれています。
法律(言語聴覚士法)では、以下のように定義されています。
(前略)音声機能、言語機能または聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行う(後略).第42条
(前略)診療の補助として医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行う(後略)。★言語聴覚士法(一部抜粋、原文のまま)
STの支援が必要となる障害や方
- 失語症
- 構音障害
- 認知症
- 高次脳機能障害
- 神経難病
言語聴覚士(ST)の支援業務
言語聴覚士は、以下の障害を抱えている方の障害の評価や診断、問題の抽出を行い、具体的な対応方法示し、ご本人様やご家族の負担の軽減、社会参加へのきっかけを見出すサポートを行います。
コミュニケーションに関してのリハビリ専門職のような役割です。
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- 言語障害
- 音声障害
- 構音障害
- 嚥下障害
言語障害とは
言語中枢の障害により話す、聞く、読む、書く等の機能が低下といった障害から、声を出すことだけでなく、話が理解できないなどのコミュニケーション全体としての障害を指します。
音声障害とは
声が出ない、小さい、かすれる、裏返るなどの症状があり、会話がしずらい障害を指します。
構音障害とは
ろれつが回らない、話す速度が速いまたは遅い、発音がはっきりしないなどの症状があり、音声障害同様に会話がしずらい障害を指します。
嚥下障害とは
咀嚼や飲み込みが困難になる障害のことを指します。
言語聴覚士の支援業務は「言葉に関する支援」と「食事に関する支援」になります。
言葉の障害による負のスパイラル
言葉や会話によるコミュニケーションは生活に欠かせないものです。もしそれら言葉の障害を抱えていると、生活全般に影響を及ぼします。
さらに、言葉の障害は負のスパイラルを生み、ひとたび悪循環が生じると、なかなか断ち切れないことが大きな問題となります。
そして以下のようなスパイラルに陥りがちになります。
- 話さない・話せない
- コミュニケーション機会の減少
- 自分の状態・能力がわからない
- 失敗、戸惑い、不安
- 何事にも自信がもてない
- 抑うつ、引きこもり
食事に関する支援
「食べること」の多様な意味
高齢社会を迎え「最後まで口から食べる」ことの大切さについて社会の関心が高まっています。「食べること」には多様な意味が含まれています。
- 生物的意味(栄養を確保するために食べる)
- 個人的意味(自分が食べたいものを食べる)
- 文化的意味(冠婚葬祭などの行事の中で食べる)
工夫次第で食べられる可能性を見逃さない
一言で「食べる」といっても、「何を」「どのように」「どこで」食べるのかで状況は異なります。
摂食嚥下機能が低下しても、食形態を変えることで継続して食べられることがあり、検討が必要です。食形態にこだわりをもつ人も多いため、話し合いながら進めていきます。
食べ方の工夫により、食事の可能性が広がることも多くあります。介護者のマンパワー・負担度を考慮しながら進めます。
食べられなくなった時のことを想定しておく
すべての人が、やがては食べられなくなります。
先を見通して対処していくことを心掛けます。
やがて食べられなくなる状況を想定しておく必要があります。家族あるいは本人と、話し合いの時間をもち、そのときの方法を選択しておくことが望まれます。
言語聴覚士からひとこと
歩く、階段を下る・上る、料理をする、散歩をするといった基本的な動作と同様に、言葉を使ったコミュニケーションや食べるといった機能も生活する上でとても大切な機能です。
それら大切な機能のサポートをするのが私たち言語聴覚士の役割です。
私たちは生活している場所で、直接介入できるメリットを活かして最大限の効果を引き出せるSTリハビリテーションを目指しています。
「こんなこと聞いても良いのかな?」など、少しでも困ったことがあれば、迷わずにまずはお声をかけてください。私たちはご利用者様がより良い生活にするための力になれると思います。